噴霧機選びは難しい?
ひとくちに「噴霧機」と言っても、動力の有無やそのタイプ、形や能力の違いなど、さまざまなタイプが販売されており、どの製品が自分にマッチしているのかがわかりにくいですよね。また、噴霧器は家庭菜園から除草剤の散布や本格的な農業の防除作業まで、幅広い用途で使用されるため価格帯も幅広く、選ぶのも一苦労。
このページでは、そんな噴霧機選びのお悩み解消をサポートいたします。
この記事を
書いた人
1級農機整備技能士/農機具バイヤー
栗栖 一基(くりすかずき)
和歌山県出身。地元の工業高校を卒業後、小さい頃からの夢だった大工の道へ。しかし修行の厳しさに4年で敢え無く挫折。
再就職先として、特段興味もなく飛び込んだ農機具の業界だが、その奥深さに魅了され気づけば業界歴10年(2020年現在)に。農機具の整備士を経て現在は事業の統括とバイヤー業務に奮闘中。
休日は2人の子供と遊ぶ傍ら、趣味である釣りに行くタイミングを虎視眈々と狙っている。
代表的な噴霧機の種類
噴霧器は薬液のタンクが一体になっているもの、薬液タンクを別途用意する必要があるもの、エンジンやモーターなどの動力が有るもの、無いものなど種類が多岐にわたります。まずは以下に噴霧器の分類として代表的な5種類を紹介します。
背負式噴霧機
薬液タンクをリュックサックのように背負うタイプです。手動式のもの、動力にモーターを搭載しているもの、エンジンを搭載しているものがあります。
セット式動力噴霧器
セット台にエンジンやモーターなどの動力とポンプを搭載した噴霧器です。一般的には「セット動噴」と呼称されます。本格的な農業用途で使用されることが多いです。
肩掛け式噴霧機
10L以下の小容量の小さな薬液タンクで、片側の肩に掛けて使用します。安価で扱いやすいので、家庭菜園などで多く使用されます。
キャリー式噴霧機
エンジンやモーターなどの動力と、ポンプ、噴霧ホースがタイヤ付きの台に一体となったタイプです。薬液タンクが付属しているモデルが主流です。
ラジコン動力噴霧器
キャリー式のように動力、ポンプ、ホースがタイヤ付きの台にセットされ、なおかつ離れた場所からリモコンで遠隔操作できる動噴です。
噴霧器は多種多様!
噴霧器には、ここでは紹介しきれないほど沢山の種類が存在します。また、価格も数千円から百万円を超えるものまで幅広く、さらに機種によって得意な用途と不得手な用途が存在しているので、選ぶのが難しい機械です。
使用目的に適した噴霧器を選んで、快適作業を目指しましょう!
目的別噴霧機の選び方
今回は噴霧機の選び方を目的別に、農機具専門店の視点から解説していきます。
まずは以下から使用目的を選んでください。
家庭菜園
家庭菜園向け噴霧機の選び方
●畑の広さに応じて選ぼう
家庭菜園で使用する噴霧機選びは、まず一番に薬液を入れるタンクの容量がポイントです。薬剤を散布する畑の広さに応じてタンクの容量を選びましょう。
お庭の片隅での家庭菜園なら5~8L程度の容量で十分ですし、鍬(クワ)で耕せるくらいの広さなら10L前後が、耕運機が必要な広さなら50Lの容量の大きいタンクがおすすめです。
●予算に応じた動力タイプを!
タンク容量が決まればあとは動力タイプを予算に応じて決めましょう。手動式が一番安価ですが、散布範囲が広いとポンプに蓄圧するのが大変です。電動式やエンジン式は作業は楽ですが、その分価格も高くなります。
お庭の畑におすすめ
小規模でも楽をするなら!
クワで耕せる広さの畑なら
規模の大きい家庭菜園なら!
除草剤散布
除草剤散布用噴霧器の選び方
●基本的にはどれでもOK!
除草剤散布には基本的に圧力も水量もほとんど必要無いので、極論を言うとどの噴霧機を選んでも作業はできちゃいます。なので、作業環境にあわせた噴霧機選びがポイントです。背負式は準備が楽で気軽につかえますし、セット動噴なら薬液を背負わない分長時間でも疲れにくいです。
●広範囲散布とちょいまきで機械を使い分けよう
農家さんが除草剤散布専用に噴霧機を用意するなら、広範囲散布用に小型のエンジンセット動噴と、ちょいまき用に手動式かバッテリー式の安価な背負噴霧機の2台持ちがおすすめです。シンプルでなが~く使えるプロ仕様
除草剤散布でバッテリー式ならこれ!
とにかく軽いセット動噴!
2人同時に除草剤を散布するなら!
丸山エンジンセット動噴 MS335EA-1
1台の動噴で広範囲を2人で除草剤散布したい方や、除草剤散布から野菜の農薬散布を1台でまかないたい方におすすめなのがこの「MS335EA-1」です。小型ながら20L/minの十分な給水量で、除草剤散布なら2人同時使用でもしっかり使えます。また、キャベツやレタスなどの平面野菜の防除にもおすすめ! 丸山製作所のカタログには掲載の無い限定モデルで、同クラスの丸山セット動噴よりも大幅にお求めやすい価格で非常に人気の高い1台です。 この価格で信頼と実績の丸山製動噴が買えるのはお得ですね♪
販売価格:
水稲防除
水稲防除用噴霧器の選び方
●水稲防除は水量重視!
水稲の防除で一般的に使用される「畦畔噴口」などの水稲向けノズルは広範囲に散布できるよう、吐出量が大きいノズルが多いです。大水量を要求するノズルに対応できるよう、動噴も給水量の大きいモデルを選びましょう。
●ラジコン動噴ならホース径に注意!
ホースを別途用意するエンジンセット動噴なら問題ないのですが、ラジコン動噴やキャリー動噴など、本体にホースがセットされているモデルの場合にはホース径に注意です。細いホースだと畦畔噴口が必要とする水量が吐出できない場合があります。畦畔噴口を使用するなら10mm径以上がおすすめです。動噴のトップメーカー、丸山製作所!
始動らくらくセルスタート
準備と片付けをもっと楽に!
ラジコン操作でらくらく作業
共立自走式ラジコン動噴 WGR617V-12
とにかく楽に作業したい!そんな要望にお答えするのがラジコン動噴!WGR617V-12は5chラジコンタイプで、エンジンの始動/停止、ホースの巻取り/繰り出し、ポンプON/OFFの操作が軽トラックと圃場を行ったり来たりしなくても離れた位置からリモコン操作できちゃいます。また、ホースの繰り出しアシスト機能がついているので、ホースを引っ張ると自動でホースを繰り出してくれるんです!ホースを伸ばした状態での繰り出しはしんどいですもんね!高価ですが、導入すれば水稲防除が劇的に楽に!
販売価格:
野菜防除
野菜防除用噴霧器の選び方
●細かい霧を出せる高圧タイプを選ぼう!
野菜の防除には、柔らかく微細な霧を出せるかどうかがポイントです。もちろんノズルの性能に大きく左右される部分ではありますが、基本的には噴霧圧力が高いほうが細かい霧が出せます。
●圧力と水量が高いほど効率UP!
ポンプの性能が高ければ高いほど、すずらん噴口などの多頭口のノズルを使用でき、またホースの長さも長く伸ばせるので、一度で広範囲に散布したい場合には性能の高い動噴を選ぶのがおすすめです。路地の平面野菜などでは特に作業効率があがりますね♪高圧タイプのエンジン式
ハウス内防除におすすめ
野菜防除の定番!
ホースの巻取りらくらく!
果樹防除
果樹防除用噴霧器の選び方
●水量と圧力のバランス重視で!
いわゆる「手がけ」の果樹防除に使う動噴選びで大事なのは、給水量と最高圧力のバランスです。果樹防除では鉄砲噴口やピストル噴口など、比較的高い圧力と水量を要求するノズルが多いので、どちらか一方だけ能力が高い動噴より、どちらも程々に能力のある動噴が適しています。
●環境に合わせて能力を選ぼう!
使用するノズルによっても勿論ですが、使用環境によっても必要な動噴の能力が変わってきます。例えば、1台の動噴で2人で防除するなら必要な水量は2倍になりますし、動噴の設置位置より高い位置で使用する場合や、長いホースを使用する場合には圧力ロスが発生するのでその分高圧の動噴を選ぶ必要があります。果樹防除の定番モデル
二人防除ならこのモデル!
コスパ重視ならこれ!
らくらくセル付きモデル
掲載ブランド
工進
京都府に本社を置く、農業・園芸機器のメーカーです。噴霧器の他にも農用ポンプや高圧洗浄機などを製造しています。
共立
噴霧器や、刈払機、チェンソーなどの小型農機を得意とするメーカーです。小型農機全体では日本トップクラスのシェアを誇る農機具メーカーです。
丸山製作所
農業用噴霧器の国内トップメーカーです。長い歴史に裏打ちされた高い品質と信頼性で農家さんからの支持も厚いブランドです。
カーツ
刈払機や芝刈り機など、主に草刈り関係の農機が得意なメーカーです。ギヤ部品などの加工精度の高さに定評があります。
シンセイ
福島県に本社を置く、農業資材を主体とするメーカーです。安価で高品質の製品作りを信条に、農機・農資店からホームセンターまで幅広い店舗で取り扱われています。
藤原産業
大工道具、電動工具を主体とした専門商社です。近年では園芸機器にも注力しており、お求めやすい価格帯のラインナップが厚いブランドです。
掲載商品のご注文はこちら
農業専門店 アグリズ
「アグリズ」は創業昭和22年の老舗農機具店、株式会社藤原農機が運営する日本最大級の農業専門通販サイトです。農業機械を中心に、農業資材、肥料、農薬、その他農業関連用品まで、農業に関わる商品を幅広く取り扱っています。