※2015/05/01更新
No.009 有機肥料の正しい使い方
みなさまいかがおすごしでしょうか。
アグリズではお客様より「有機っていろいろあるけど商品ごとの違いはなんですか?」とのお問合せをいただいておりました。
元肥としてよく活用される有機肥料にも、化成肥料のように、含まれる成分にはそれぞれの特性があります。
そこで今回「アグリズが聞く!商品開発の裏側コーナー!」は、有機肥料に注目を置き、肥効について解説してみようと思います
夏野菜植えつけ時期になりましたね〜!施肥で注意しなくちゃならないポイントをしっかり押さえましょう!
有機と化成ってどう違うの?
化学式でC(炭素)を含むものを有機、含まないものを化成と呼びます。化成肥料は工場で化学的に合成して作られた肥料です。
窒素肥料(N)、リン酸肥料(P)カリ肥料(K)、単一での肥効を期待する場合もしくは即効性が必要な場合は化成肥料をお勧めします。
しかしながら、土壌は化成肥料だけでは痩せてしまいます。
対して、有機肥料は肥効の即効性こそ化成肥料に劣るものの、微生物が有機物を分解し、土を根本から肥やす効果があります。
@窒素の働き
たんぱく質における重要な構成元素の窒素は、植物の体をつくる細胞の主成分でもあります。葉緑体も窒素がないと作られません。
窒素が不足すると・・・・・
生育が悪化し、葉緑素が不足して、色が薄く黄色くなります。
とくに葉や茎が育つ栄養成長期に必要で、栽培期間通して、切らさないよう
心がけたいですが、過剰に施しすぎると、肥満化し、繊維質などの生産が間に合わず、葉茎が弱くなる症状がでます。
Aリン酸の働き
リンは作物の細胞の核酸や、リン脂質をつくる原料です。糖類やたんぱく質の合成を助ける働きをしています。
リンが不足すると・・・・・
葉茎、根の成長が悪くなり、花つきや色にまで影響が及びます。果実や種子が形成されなくなります。
リンは土壌中での移動が困難なため、根が吸収しやすいように追肥ではなく、元肥として施しておきましょう。
Bカリウムの働き
カリウムの働きのその多くはいまだ解明されていません。
植物のカリ含有量は高く、生命維持の各種調整をしており、たとえば、植物体の中でpHを安定させ、酵素を活性化させ、光合成の手助けなどをしています。
カリウムが不足すると・・・・・
糖、炭水化物などが合成されなくなり、低温や病害に弱くなります。
その欠乏の症状は下の葉から黄化したり、褐色になり、開花が遅れ始めます。

有機肥料の使い分け
有機肥料にも化成肥料と同じようにもちろん窒素肥料(N)、リン酸肥料(P)カリ肥料(K)の成分により構成されています。
有機肥料を大きく三つに分けると、植物質、動物質、その他があり、市販のものに関しては、肥料取締法に基づいて品質表示がされています。
具体的な数値は商品をご覧いただくとして、
肥料の種類から大まかな含有の目安を紹介したいと思います^^

菜種油粕:良好な窒素・リン酸肥料です。元肥に向きます
大豆油粕:菜種油粕よりも窒素とカリがやや多く、温暖な地域では追肥として使用できます。
草木灰:窒素はほぼ含みません。リンとカリはほかの植物質肥料よりも多く含み、追肥として使用できます。
ニームカーネル油粕:窒素とカリを多く含有します。
ドイツでも人畜無害で安全な環境保全資材として、オーガニックのガイドラインで使用が認知されている資材で、アザディラクチンという独特の成分を含み、肥料でありながら害虫の生育を阻害する効果が期待できます。

魚かす: 比較即効性があり、元肥、追肥の両方に使用できます。昔から使用すると"味がよくなる"と言われますが、これは腐植の具合に大きく左右されます。虫や犬・猫などの被害に注意しましょう
肉かす粉末: 魚かすと似た肥効で、窒素分を多く含みます。
窒素質グアノ: 海鳥糞やこうもりの糞、たまごの殻が化石化したもの。窒素・リン酸に富み、長期栽培の元肥に向きます。
カニ殻粉末: 窒素を多く含み、有機肥料の中でもかなり緩効性です。カニ殻の主成分キチンを分解するための菌が糸状菌も攻撃するため、根の病気を抑える効果があります。

食品汚泥加工:食品処理時の汚泥、内容物にもよりますが、窒素とカリが少なく、元肥用です。
加工ウズラふん肥料:鶏糞よりも窒素が多く、元肥に向きます。
豚糞・鶏糞:窒素、リン酸を含み、葉菜類元肥に向きます。
有機肥料で気を付けてほしいこと
肥効がゆっくりなため、狙ったタイミングで希望通りの効果が得られるかは経験によるところが 大きいと思います。
施してから効果を発揮するまでの間に肥料切れを起こさないよう気を付けましょう。
また、未熟な堆肥の施用で障害が出ることもあります。
発芽障害や、立ち枯れ、アンモニアガス障害、亜硝酸ガス障害、また病害虫の発生が多くなる原因になります。
くわえて発酵する為に土壌中の窒素を使ってしまうため、窒素不足に陥る危険があります。
未熟堆肥の見分け方のポイントは
◯堆肥や肥料の中に原型が残っていないこと
◯悪いにおいがする・アンモニア臭を放つものは使用しない
未熟気味の堆肥を使用する場合は、一か月以上前に施し、土の中で分解させるとよいでしょう。
